ライブコマースとは?ライブ配信で商品販売するメリット&事例解説!
新型コロナウイルス流行の2020年以降から実店舗で購入する消費者が減少している時代、徐々に需要が拡大し続けているライブコマースです。
日本の企業も多数参入してきているライブコマースとは一体どんなものなのでしょうか。
この記事では「ライブコマースとは何か」というところから、ライブコマースを運用するのに必要なおすすめアプリについても解説していきます。
ライブコマースとは?仕組みについて
ライブコマースとは、リアルタイムで商品紹介などのライブ配信しながら、配信者とユーザーが双方向でやり取りを行い商品を購入できる、新しいオンラインショッピングの販売手法です。
配信者がリアルタイムで商品やサービスを紹介、ユーザーはコメント機能で商品についての疑問点を直接、配信者に質問することができます。
ユーザーは実店舗に足を運ばなくてもスマホ1台あればライブ配信に参加でき、商品を購入できる、利便性の高さもポイントです。
配信側は、専用のプラットフォームや自社のECサイトやSNSのアカウントで配信をおこない、ユーザー側は配信中に欲しい商品があれば、配信コンテンツを経由して商品やサービスを購入できます。
配信時、知名度の高いインフルエンサーや有名人を起用し、より幅広い視聴者を獲得できる点も魅力の一つです。
ライブコマースの市場規模
新型コロナウイルスの影響で、ライブコマース市場は拡大し続け、世界中でも大きな盛り上がりを見せています。
世界のライブコマース市場の中でも、ライブコマース発祥の国と言われる中国では、特に圧倒的な広がりを見せています。
中国の規模
中国では、アリババ傘下のECサイト淘宝(タオバオ)を始め、大手EC企業参入で急速に拡大していき、2020年には1兆元(17兆638億円)、2025年には6兆元(100兆円)を超えると予想されています。
中国のインターネット情報センターが発表したレポートによると、2020年未時点でライブコマース利用者数は、3億8,800万人、その割合はインターネット利用者の39.2%です。
利用者層は主に女性で、21~30歳と比較的若い世代に利用されています。
また、自分が支持するインフルエンサーが紹介する商品への信頼度が高いのも特徴で、中国のインフルエンサーが(配信者=ライバー)となり、口紅を販売したところ、1日で431億円を売り上げたという驚きの結果も出ています。
参考元:https://www.cbn.co.jp/archives/29384
日本の規模
ライブコマースは、2017年ごろから日本国内でも本格的に活用され始めてきましたが、国内認知度はあまり高くはないのが現状で、中国ほど浸透はしていません。
認知度としては、若い世代が高く、年齢が上がるにつれて低い傾向にあります。
2019年に実施したライブコマース認知度調査では、以下のような結果が出ています。
- よく知っている ……4.1%
- 聞いたことがある……17.8%
- 聞いたことがない……78.1%
この結果からも日本国内での認知度は、まだまだ低いと言わざるをえません。
しかし、新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が増えるなか、私たちのライフスタイルも様変わりし、日本でもオンラインショッピングを利用する人が増えてきています。
リアルタイムで商品の疑問点をチャット機能を使ってその場でやり取りすることができるため、あたかも実店舗にいるような感覚で商品を購入することができるので、日本でもライブコマースが拡大してくるだろうと予想されます。
ライブコマースのメリット
それではライブコマースのメリットとは具体的にどのようなものなのでしょうか?
以下、少し詳しく解説していきます。
新規顧客を獲得しやすい
一番のメリットは新規顧客を獲得しやすいことです。
認知度の高いインフルエンサーや有名人などが、商品を宣伝することで、今までその商品の存在を知らなかった消費者が商品の購入を検討する確率が高くなるためです。
また、自社の商品のことを一番に理解している社員が商品の良さをアピールすることで、消費者に商品がより魅力的に映り購買促進に繋がりやすくなります。
写真よりも商品の良さが伝わりやすい
写真よりも商品の良さが伝わりやすいのもメリットの一つです。
ECサイトの場合、消費者が判断する商品の情報のほとんどは写真や文章となるため、購入後に「イメージと違った」などのクレームが出る可能性もあります。
その点、ライブコマースは配信者が商品の使い方やサイズ感、素材の質感などをライブ配信で伝えてくれるので、商品の特徴がユーザーに伝わりやすくなります。
このことで、購買意欲が高まり売り上げUPが期待できるでしょう。
臨場感や双方のコミュニケーションが取りやすい
ライブ配信なので配信者とユーザーの距離が近く、コミュニケーションが取りやすいのもライブコマースの魅力です。
ユーザーはチャット機能を使って気軽にコメントすることができ、配信者はすぐに返答ができるため同じ空間にいるような臨場感が味わえ、一体感も生まれやすくなります。
商品に対しての疑問点も直接コメントで聞くことができるため、ネットショッピングに対する不安感も解消されます。
更に、実店舗でお買い物している気分にもなるため、商品理解も深まり返品率削減にも繋がるでしょう。
ECサイトよりも購入までの手続きがスムーズに
ライブコマースでは商品の説明をリアルタイムで視聴しながら「この商品ほしいな」と思ったら、ワンクリックで購入画面に移動できるため、ユーザーの購買意欲の低下を防ぐことができます。
欲しい商品を購入しやすくなるため、商品を選ぶ手間も省け、買い物へのストレスが減り、販売促進に繋がりやすくなります。
ライブコマースのデメリット
ライブコマースも良い点だけではありません。
ここからはライブコマースのデメリットについても紹介していきます。
配信者にスキルが求められる
一番のデメリットは、配信者のスキルによって売り上げ金額や販売数が左右されてしまうことです。
ライブ配信内では、商品の魅力をどれだけユーザーに伝えられるかが勝負です。
配信者の商品知識が低いと、ユーザーから寄せられる質問にうまく答えることができず、顧客を逃すだけでなく配信者自体の信用度も失う恐れがあります。
さらにコミュニケーション力が求められるため、いかにライブ配信を盛り上げてユーザーの心を掴むことができるかが成功のカギとなります。
そのため、配信者の選定は非常に重要です。
ライブ配信を定期的におこなう必要がある
ライブコマースで商品を購入してもらうためには、定期的にライブ配信をおこなう必要があります。
ライブ配信することで、徐々に顧客を増やしていく必要があるからです。
配信者は、ライブ配信を継続するためにどれだけモチベーションを維持できるかというところも大事になってくるでしょう。
機材トラブル
ライブ配信は生放送でおこなうため、突然の機材トラブルに見舞われる恐れがあります。
通信回線が切れたり、カメラ、マイクなどの機材不具合で、配信が停止してしまうとせっかくライブ配信を見にきてくれた視聴者を失望させてしまいかねません。
そのためリハーサルなどしっかり準備した状態でライブ配信に挑むことが必要になってきます。
ライブコマース4つのタイプとそれぞれのサービス紹介
ここからは実際のライブコマースのいくつかの配信スタイルとその特徴、それぞれのサービスやアプリについて紹介していきます。
まず、ライブコマースは以下の4種類に分けられています。
- ECサイトから直接ライブ配信が見れるSaaS型
- ヤフーショッピングなどのECモールが提供するECモール型
- SNSのライブ機能で配信をおこなうSNS型
- ライブ配信特化のサービス内でおこなうライブ配信型
以下、これらを少し掘り下げて解説していきます。
ECサイトから直接ライブ配信を行うSaaS型
自社のECサイトやアプリにライブコマースを搭載した機能を埋め込むことでライブ配信がおこなえる手法です。
初期費用や月額費用などの費用がかかるため、継続してライブコマースを実施する必要がありますが、ライブ配信から購入・決済まで一括でできるので、さらなる自社の売上UPが見込めます。
自社のECサイトにユーザーを集客できている場合は有効ですが、サイトの認知度が低いとライブ配信を視聴してもらいづらいというデメリットがあります。
HandsUP
配信サービスで有名な台湾発祥のライブストリーミングサービス「17LIVE」が提供するライブコマースサービスです。
200社以上の企業に導入が実績あり、ライブコマース支援、商品登録、ライブ配信、購入までを一括しておこなえます。
自社のECサイトを運営していなくても商品販売が可能です。
複数のSNSと連動して配信URLを同時配信できるので、SNSでのフォロワーが一定以上いるとさらに効果的で、拡散効果も期待できます。
Live Kit
30年の実績がある大手ITサービス企業 BIPROGY(旧:日本ユニシス)が運営しています。
ライブコマースの企画、撮影から配信、分析まで専門のコンサルタントがサポートしてくれるので、はじめてライブコマースを行うのにも安心です。
ライブページのURLをSNSで拡散したり、インフルエンサーが告知することで、ライブコマースの集客を手軽におこなえます。
視聴から購入までを同一画面でおこなうことができるので、視聴者の購買意欲を維持したまま購入へと促すことができるため、販売促進には効果的です。
TAGsAPI
株式会社Mofflyが運営するライブコマースサービス。
自社のECサイトにライブコマースを導入でき、スマホ一台で簡単に配信ができるのが特徴です。幅広い業種の企業が導入しています。
自社のECサイトに短いコードを入力するだけで、ライブ配信ができるためすぐにライブコマースを立ち上げたい企業には嬉しいサービスです。
さらに月間売上、集客数などのデータ分析できるのでECサイト売上率向上が期待できます。
サポートプランも充実しており、初めてのライブコマース導入も安心できる点がメリットです。
ECモールが提供するECモール型
楽天などの複数のショップが出店しているECモールで行われるライブコマースです。
運営するECモール内のライブ配信機能を使用してライブコマースをおこなうことができます。
ECサイト自体の認知度も高く視聴者を集めやすいのが特徴です。
楽天市場のライブ配信機能を使ったライブコマース
楽天株式会社が運営するライブ動画配信サービスです。
楽天市場の出店者の店舗ページで最大90分のライブ動画を配信できます。
また、楽天市場内で開催される、楽天スーパーSALE、お買い物マラソンなどのイベントと連動して、行われるライブ配信チャンネル「楽天市場ショッピングチャンネル」でも最大30分のライブ配信が可能です。
それぞれのライブ配信には配信上限数があり、イベントごとに配信上限数があります。
auWowma! ライブTV
KDDIとauコマース&ライフが運営するショッピングサイト「auPAYマーケット」のアプリ内でのライブコマースサービスです。
出店店舗がスマホやPCでユーザーと双方向でコミュニケーションを行いながら、商品の紹介、販売をおこないます。
「お買い物を楽しく」をコンセプトにしており、過去よしもと芸人が人気ブランドの家電や調理家電などをリアルタイムで実演販売する「生配信!よしもと市場」も開催しています。
SNSのライブ機能で配信を行うSNS型
SNSの配信機能を使うことで手軽にライブコマースがおこなえます。
SNSは多くのユーザーが利用しているため以下のようなメリットがあります。
- 拡散性に優れている
- ユーザー数が多いため、幅広い事前告知を行える。
- 多くの視聴者の目に触れることが可能
しかし、SNSの種類によっては、ライブ配信画面からは商品を購入することができず、ECサイト移行後に商品を購入することになるため、視聴者がライブ配信から離脱してしまう恐れもあります。
LIVEBUY
LINEが提供を行うライブコマースサービスです。
国内ユーザー9,200万人というLINEのユーザー数を武器に売上を一気に飛躍することも可能です。
気に入った商品があれば、配信画面内からワンタップで購入することができ、商品購入後はLINEで通知があり、後日商品が届きます。
YouTube
YouTubeでライブ配信を行い、商品購入に誘導するショッピングスタイルです。
Youtubeの月間アクティブユーザーは6,500万人以上、その分多くの人の目に触れやすく、購買率UPが期待できます。
現時点では、概要欄などにECサイトのリンクを貼り付け、そこから購入サイトに移動するためライブ配信の離脱率が高くなっているのが現状です。
しかし、昨今のライブコマースの人気上昇の動向を受けて、現在ショッピング機能追加の検討が進められています。
現在国内のアクティブアカウント数は3,300万人を突破、幅広い年齢層から利用されているのがInstagramです。
この圧倒的なユーザー数を活用し、インスタライブで配信を行い商品の紹介をすれば、多くの人の目に触れやすくなり、購買率UPに繋がります。
配信者や商品に関心がある人がフォロワーになってくれるので、商品を購入してくれる可能性も高くなるでしょう。
ライブショッピング機能内の画面内に商品のタグを付けることができるため、商品を紹介しながら、商品名、価格などを表示させることができます。
紹介する商品はライブ配信の開始前に最大30点追加することが可能です。
フォロワーは、ECサイトへの誘導ボタンをクリックすることにより、商品ページで商品を購入できます。
YouTubeと同じく、画面内で商品を購入できる機能はなく、ECサイトへの移動後購入を行うため、ライブ配信の離脱率が高くなりやすい点が懸念点です。
ライブ配信特化のサービス内で行うライブ配信型
ライブ配信サービス内にライブコマース機能がついているもの、あるいはライブコマース専用のサービスです。
ライブ配信中の画面にカート機能がついており、他のサイトに移動しなくてもワンクリックでその場で商品を購入できるのがメリットです。
SHOPROOM
ライブ配信で人気のSHOWROOM株式会社が運営する、ライブ配信を視聴しながらアプリ上で商品購入できるライブショッピングサービス専用のアプリです。
スマホとパソコンから視聴可能です。
主にアイドルやアーティストのライブ配信をおこなっており、自分が応援している配信者が紹介した商品をその場で買うことができるためファンには嬉しいアプリです。
ライブコマースが利用できる配信の場合は、配信ページ内にカートが表示され、実際に商品を購入することができます。
LIVE torutte
株式会社しまうまプリント運営、接客特化型ライブコマース配信サービス。
ブラウザ形式のため、ライブ専用のURLをタップするだけで誰もが簡単にライブコマースに参加ができます。
複数人が視聴できるライブ配信中に、1対1での接客を希望する視聴者に対応できるのが最大の特徴です。
配信者と1対1で対話ができるため、スムーズな返答が可能な上、他の視聴者はそのやり取りを音声で聞くことができます。
サポート面も充実しており、集客、配信、分析まで手厚いサポートが受けられ、7,000万人を超えるT会員の趣味趣向などの購買履歴データを活用したターゲティングも可能です。
ライブコマースを導入している企業の事例紹介
ここからは、日本国内でライブコマースを導入している企業の実例をいくつかご紹介していきます。
ユニクロ
ユニクロとGUが自社のECサイト内でライブコマースを配信しています。
人気スタイリストによる着こなし術や身長別着こなし術などを紹介しており、ユーザーが服を選ぶ参考になる配信となっています。
資生堂
2020年7月22日から三越伊勢丹が運営する「meeco」内でライブ配信をおこなっています。
ビューティーコンサルタントが化粧品や美容方法などを紹介しています。
中国でもライブコマースを推進しており、中国国内でのEC売り上げも好調です。
ニトリ
お値段以上でお馴染みのインテリア用品店のニトリも自社のECサイトからライブコマースを実施しています。
キッチン用品や家電、寝具特集など季節に合わせた商品を、とても分かりやすい解説で紹介しています。
ライブコマースの利点やアプリ・サービスについて
この記事では、ライブコマースについてや中国、日本市場の現状、ライブコマースのメリット・デメリット、アプリ・サービス、企業成功例について解説してきました。
中国市場では、1配信で多額の売り上げを見せるなど盛り上がりを見せているライブコマースも日本国内での知名度はまだ高くないのが現状です。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、オンラインショッピング利用率が上がりつつある今、新しい販売手法として注目されているライブコマースは、今後ますます盛り上がりを見せていくことでしょう。